”シャーロキアン”なら見逃せない　～英国アンティーク博物館 BAM鎌倉～

英国アンティーク博物館「BAM鎌倉」は、2022年秋、鎌倉若宮大路沿いにできた比較的新しい博物館です。

この博物館は、建物の設計は鎌倉ゆかりの著名な建築家である隈研吾氏が担当し、英国のアンティーク収集家でありこの博物館の館長でもある土橋正臣氏が長年にわたって集めた本物のアンティークコレクションを展示しています。

英国アンティーク博物館「BAM鎌倉」を楽しもう

BAM鎌倉の外観

BAM鎌倉 外観

建物の設計は土橋氏から依頼を受けた隈研吾氏が担当しました。隈氏は古都鎌倉にふさわしいものとして、鎌倉に伝わる伝統工芸品である鎌倉彫から着想を得た木製の外観をデザインしました。

ロンドンタクシー"ブラックキャブ”と真っ赤なテレフォンボックス

1階入り口で目を引くのは漆黒のロンドンタクシー、”ブラックキャブ”と真っ赤なテレフォンボックス。

このブラックキャブは土橋館長のコレクションのひとつ。土橋館長は日本一のブラックキャブコレクターとして知られ、保有する10台のうちの1台が展示されています。

ロンドンを象徴する真っ赤なテレホンボックスとブラックキャブとの対比もお楽しみのひとつです。

隈研吾氏のぼんぼり（2022年鶴岡八幡宮）

管理人 sho

ぼんぼり祭については下記リンクを参照してください。

1階　受付とミュージアムショップ

BAM鎌倉1階に鎮座するチケットカウンターは英国のパブで使われていたアンティークもののカウンターです。チケットはこちらで買うこともできますが、事前にオンラインで購入することもできます。

1階には受付カウンターのほか、お土産コーナーもあります。シャーロックホームズ公式博物館ロンドンで販売されている公式グッズをここ鎌倉で手に入れることができます。

2階の展示室に行く前に、土橋館長の案内動画を見てから階段を登ります。

2階 ジェントルマンズアイテム

階段を登って展示室に向かいます。階段の壁には100年以上前の無銘の絵画が飾られています。描かれているのはイギリス国内各地の風景画で、各時代の装飾が施されています。

2階　ジョージアン時代

2階 ジェントルマンズアイテム

2階に入るとまず目に飛び込んでくるのは近衛兵の赤い上着や靴の木型。ここは「ジェントルマンズルーム」という名前の小さな部屋で、「ジェントルマンのためのアイテム」を展示する部屋となっています。

管理人 sho

この木型は王室御用達の靴メーカーであるジョン・ロブの木型のものとのことです。

2階 銀製品たち

2階のジョージアンルームは、1700年代から1800年代前半までの部屋を再現したものです。部屋の奥に向かって右側のキャビネットはロンドンの理髪店にあったものです。

テーブルの上やキャビネットの中には、キャンドルスタンドやティーポットなどの銀製品が並んでいます。

3階　シャーロックホームズの部屋

シャーロック・ホームズの部屋入り口

3階にはこの博物館の最大の目玉であるシャーロックホームズの部屋があります。

ビクトリア時代のドアと「221B」の部屋番号、そして入り口の右側にある看板は当時使われていた本物の道路看板とのこと。扉の向こうには「シャーロキアン」にはたまらない世界が待ち受けています。

調べ物をするシャーロック・ホームズ

ここではシャーロック・ホームズのリビングルームや写真が忠実に再現されています。右奥にある書斎にはホームズの姿も見ることができます。

ここでのホームズは拡大鏡を片手に何やら熱心に調べている様子が再現されています。

こん吉

シャーロック・ホームズ初版本コーナー　コナン・ドイル直筆の手紙

シャーロック・ホームズが連載されていた「ストランドマガジン」の初版本（もちろん本物）やコナン・ドイル直筆の手紙も見逃せません。

4階　ヴィクトリア時代

4階 超大型蓄音機

4階ヴィクトリア時代の部屋に入ると巨大な蓄音機が目に入ります。BAM鎌倉の目玉の一つであるこの蓄音機は、土橋館長が骨董品の鑑定をする人気のテレビ番組で購入したものだそうです。

この蓄音機は「エキスパート・シニア withオール・レンジ・ホーン」といい、蓄音機のロールスロイスといわれるほど貴重なものとのことです。

ヴィクトリア女王の肖像画

4階にはほかにもヴィクトリア女王の肖像画や国王室御用達でありイギリス屈指のピアノメーカー「John broad wood & sons（ジョン ブロードウッド アンド サンズ）」製のピアノなどが展示されています。

4階　隈デザイン立礼式茶室

立礼式茶室

4階の一番奥右側には隈研吾氏がデザインした茶室があります。この茶室では、BAM鎌倉建築前の発掘調査で出土した鎌倉時代のものと考えられる木材を壁の装飾として使用し、床材にはこれもおよそ800年前のイギリスのホテルで使用された木材を用いています。

また、壁紙にはこの土地から掘り起こした土を和紙に漉き込んだものを使っています。床材はイギリスのオークの床板で、日本が鎌倉時代だった時代にイギリスで使われていたものです。

この茶室の縦型の窓は掛け軸に見立てたもので、ここからは借景として鶴岡八幡宮の鳥居や社殿、さらにその奥にある鶴岡八幡宮裏山（御谷・おやつ）の森も見えています。

鎌倉と英国との接点とは？

ここから見える御谷（おやつ）の森には、かつて住宅開発の話が持ち上がった際に、開発側と作家の大佛次郎も含んだ反対派との間に激しい攻防がありました（御谷騒動・おやつそうどう）。

1964年（昭和39年）に発足した鎌倉風致保存会はこの騒動の舞台となった緑地を買い取り、これが日本で初めての「ナショナルトラスト運動」となりました。

ピーターラビットの舞台となったイギリス湖水地方が発祥とされるナショナルトラス運動が鎌倉の自然を守ったという御谷の森を見守ることができることから、この窓がイギリスと鎌倉を結びつけるかたちとなっています。

英国アンティーク博物館のまとめ

交通アクセス