一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)は、鎌倉市浄明寺にある、国指定重要文化財の山荘です。
「武家の古都」といわれる鎌倉には珍しい、京都の貴族文化を映した皇族の「茶屋」で、滑川(なめりがわ)を背景とした庭園には季節ごとにさまざまな花が咲き、庭園を美しく彩ります。
特に、初夏のアジサイ、晩秋の紅葉は素晴らしく、多くの観光客が訪れます。
この記事の目次
一条恵観山荘とは
一条恵観(1605年~1672年)は、後陽成天皇の第九皇子で、摂政・関白を2回ずつ務めた人物です。
和歌を始め、書や茶の湯、能楽から絵画・香など、文化芸能に精通した人で、江戸時代初期の1646年ころに京都・西加茂の広大な敷地内に別荘となる茶屋を建立したのが一条恵観山荘です。
1959年(昭和34年)に鎌倉に移築。庭石や枯山水も当時と同じように配置されました。1964年(昭和39年)には国の重要文化財に指定され、2017年に一般公開されています。
恵観の叔父の八条宮智仁親王が建てた桂離宮や、恵観の兄の後水尾天皇が造営した修学院離宮とともに、江戸初期の朝廷文化を今に伝える貴重な施設となっています。
一条恵観山荘施設概要
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からイベントの中止や延期の可能性もあります。
住所 | 鎌倉市浄明寺5-1-10 |
電話番号 | 0467-53-7900 |
営業時間 | 10:00~16:00(最終入園15:30) |
アクセス | JR鎌倉駅東口発 京急バス4番乗り場より乗車10分「浄明寺」バス停より徒歩2分 |
料金 | 入場料:大人・子どもとも500円 未就学児は入場不可、山荘見学は指定日開催で事前予約制・別料金 その他各種イベントは別料金 |
休園日 | 月曜日・火曜日(祝日の場合は開園の場合あり) *その他、催事開催時など臨時休館あり |
公式サイト | 一条恵観山荘 |
2019年に訪れた時に公式サイトを確認した際には、神奈川県在住者は入場料が無料になる神奈川県民デーが、年に何日か設定されていましたが、今回この記事を書くに当たって公式サイト見たところでは、神奈川県民デーは確認できませんでした。
一条恵観山荘を歩いてみよう
一条恵観山荘へ
浄明寺バス停でバスを降りたら、バス通りを鎌倉駅方面とは逆方向に歩きます。およそ2分ほど歩いて右側に竹製の大きな門が見えたら、そこが一条恵観山荘の入り口です。
敷地内に入ったら、受付で入場料を払います。早速花手水のお出迎えです(上の写真)。
受付から庭園へ
受付から庭園に向けて歩きましょう。
左手の庭を見ながら建物脇を歩きます。この庭は、全体に白い砂利が敷き詰められ、中央にアジサイの咲く「島」があります。簡素な中にも凛とした美しさがあり、かつてこの山荘が京都にあったことを感じさせます。
間もなくアジサイに彩られたつくばいが見えてきます。ここを右に曲がると、茅葺屋根の門があります。
重要文化財 一条恵観山荘
つくばいから進んで目の前にある門は御幸門といい、天皇をお迎えするための門が再現されています。
御幸門をくぐって少し歩いたところにある編笠門は茶室江月庵への入り口ですが、通常は非公開です。
編笠門のすぐ目の前に建つ茅葺屋根の建物、これが一条恵観山荘です。田舎家風の茅葺屋根をいただくつくりが特徴の外観と比べて、障子や襖には細やかな技巧が凝らされています。
建物内部の見学は、特定の日程で別料金で実施されます。詳しくは公式サイトでご確認ください。
庭園を歩く
一条恵観山荘の前庭は一面コケで覆われ、中央にはつくばい、そして、枯山水風の石が敷き詰められているところもあります。キキョウの花もちょうど見頃を迎えていました。
通路にしたがって進むと、四阿(あずまや)が見えてきます。四阿の内側はアジサイで覆われていて、写真撮影スポットとなっています。
アカマツの林を抜けると山荘のすぐ横に出ます。石橋の付近には、山荘を背景にハナショウブが咲いています。
滑川との協働
「紅葉の小径」を小さな滝やヤマアジサイなどを眺めながら歩きます。やがて滑川脇の小さな広場に出ます。この広場も白い砂利で覆われ、中央にある小さな「島」には、アジサイや小さなつくばいなどがあります。
滑川は、朝比奈峠付近を水源として、十二所(じゅうにそ)、浄明寺、二階堂、雪ノ下、小町、大町、材木座を流れ、由比ヶ浜に注いでいます。
この小さな広場からは、鉢植えのアジサイや石燈籠などとともに、人の手の入っていない滑川の原風景を見ることができます。
滑川沿いの小さな広場にあるベンチには背もたれにハート形の穴が開いています。この形は「猪目(いのめ)」といって、イノシシの目の形から来ている言葉です。
魔除けの意味があるともいわれ、西洋からハート形が入ってくる以前から、神社・仏閣の建築意匠などで用いられています。
かふぇ 楊梅亭
滑川沿いの小さな広場から白いアジサイに囲まれた階段を登ると、右側にかふぇ楊梅亭(やまももてい)があります。ここでは、滑川の原風景を見ながら抹茶やスイーツを楽しむことができます。
楊梅亭主なメニュー
- 抹茶と季節の主菓子
- 白玉あんみつ
- ホットコーヒー
- ゆずサイダー
かふぇ楊梅亭の前から建物に沿って歩き、出口に向かいます。丸窓の向こうには笹と石灯籠が見えています。
鎌倉観光文化検定対策
鎌倉観光文化検定公式サイトに過去問の記載がある第11回(2017年度実施)以降の鎌倉観光文化検定(以下、「鎌倉検定」)2級および3級の出題の中から、一条恵観山荘について、出題状況や傾向を検討します。
2020年度・2021年度の鎌倉検定は中止となっていますのでご留意ください。
傾向と対策
第12回1級の出題において、一条恵観山荘の名前が選択肢として出題されたほかは、2級・3級とも出題されたことはありません。とはいえ、今後も出題されないとは限らないので、特徴は押さえておく必要があるでしょう。
下記の「一条恵観山荘のまとめ」を意識しておけばよいのではないでしょうか。
一方、滑川については、これまでに何度か出題がされていますが、出題傾向は次の2つに要約されます。
- 滑川は場所によって名前が変わる。上流からどのように名前が変わるか。その名前で呼ばれる理由は何か(3級 11回・12回・13回)
- 滑川に十文を落とした銭拾い伝説の人物は誰か。その人物が銭を落とした橋はどこか(3級11回、2級12回)⇒正答:青砥藤綱、東勝寺橋
滑川の名前は、上流から次のように名前が変わります。理由と併せて覚えておきましょう。
- 太刀洗川⇒梶原景時が上総介広常(かずさのすけひろつね)を斬った太刀を洗った梶原大刀洗水があったことから(3級13回で出題)
- 胡桃川
- 滑川
- 坐禅川⇒大御堂橋付近に文覚上人の屋敷があったことから(3級11回・13回で出題)
- 夷堂川⇒本覚寺の鎮守社の夷堂が近くにあったことから
- 炭(墨)売川
- 閻魔川
一条恵観山荘のまとめ
- 一条恵観は、後陽成天皇の第九皇子で、摂政・関白を2度務めた人物
- 一条恵観山荘は、鎌倉市浄明寺にある国指定重要文化財の山荘
- 江戸時代初期に京都に建てられ、1959年に鎌倉に移築、1964年に国の重要文化財に指定され、2017年から一般公開
- 枯山水や四阿(あずまや)、滑川の景観を生かした散策路などがある。
- アジサイや紅葉のほか、季節ごとに咲く花が美しい
- かふぇ楊梅亭では抹茶や白玉あんみつなどを楽しめる
いかがでしたでしょうか。一条恵観山荘では定期的に入れ替えが行われる花手水など、いわゆる「インスタ映え」を意識したかのような演出が盛りだくさん。もしも気になるようでしたらお出掛けされてはいかがでしょうか。
紅葉の一条恵観山荘については下記リンクを参照してください。
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交通アクセス
バス | JR鎌倉駅東口発 京急バス4番乗り場より乗車10分「浄明寺」バス停より徒歩2分 |
※駐車場はありません。
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更新状況
- 2021年11月27日:アジサイの一条恵観山荘へのリンクを設定
- 2021年6月30日:記事掲載
参考文献
- 現地案内チラシ
- 鎌倉観光文化検定公式テキスト
- 鎌倉観光文化検定公式サイト
- 一条恵観山荘公式サイト