この記事の目次
永福寺跡とは
永福寺(ようふくじ)跡は、鎌倉市二階堂にある源頼朝が築いた寺院の遺跡です。
頼朝は、1189(文治5)年、奥州合戦で平泉の藤原泰衡を討ち、奥州を支配下に置いた際に目にした平泉の中尊寺の二階大堂(大長寿院)を模して創建したのが永福寺です。
現在では、当時の地面の上に盛土をして遺跡を保護しながら、二階堂、阿弥陀堂、薬師堂の基壇を再現しています。伽藍の配置は三堂が複廊を介して南北方向に一列に並び、両側の堂からはL字型の廊が付属し、中門・釣殿が造られていました。
※永福寺復元伽藍配置図 鎌倉市公式サイトから引用
こうした伽藍配置とその規模は他に例を見ないもので、源頼朝の独創性を示すものとして注目されています。東に向く堂の前には南北約200m、東西約40~70mの広大な苑池がつくられ、二階堂の前には橋が架けられていました。
永福寺は1405(応永12)年に焼失しましたが、その後は再建されることはありませんでした。
永福寺跡へ行ってみよう!
永福寺跡散策路を歩きます
JR鎌倉駅東口から大塔宮行きのバスに乗り、終点「大塔宮」で下車します。鎌倉宮の横の道を歩き進むとやがてテニスクラブがあり、その先、左側に永福寺跡があります。
この日私は自転車で現地に行きました。自転車置き場は、鎌倉宮横の道を進みテニスクラブ入り口に続く道に入ってすぐ右側にあります。
永福寺の散策路を苑池に沿って歩きます。
平泉町から贈られた中尊寺ハス
永福寺跡二階堂の対岸の小さな広場に中尊寺ハスが置かれています。かつてはここから向う岸の二階堂正面に向かって橋が架けられていました。
中尊寺ハスは、中尊寺の発掘調査で見つかった種子を開花させたもの。2019年4月に岩手県平泉町から鎌倉市に寄贈されました。
永福寺跡の基壇跡を見る
一旦敷地の外に出て道なりに歩き、北翼廊跡付近の入り口から再び永福寺敷地内に入ります。この付近からは、手前から薬師堂、二階堂、阿弥陀堂の3つ基壇跡がよく見えます。
また、北翼廊跡から苑池に向かって遣水も再現されています。平泉の毛越寺の遣水で行われる曲水の宴のような催事がここでも行われていたのでしょうか。
鎌倉幕府を支えた13人の宿老の内、二階堂行政(にかいどうゆきまさ)は、永福寺造営奉行(工事責任者)に任じされその任に当たり、二階堂に居を構えたことから二階堂姓を名乗りました。また、同じく13人の宿老の内の足立遠元(あだちとおもと)は阿弥陀堂の奉行のひとりだったとされています。
遊歩道は途中まで
南翼廊付近に遊歩道入り口があるのでここにある階段を登ります。
すぐに小さな広場に出ますが、この先の遊歩道は通行止めとなっています。ここからの景色を眺めたら来た道を歩いて戻ります。
北翼廊近くにも遊歩道入り口がありますが、こちらも同じく途中で通行止めとなります。
鎌倉観光文化検定対策
鎌倉観光文化検定公式サイトに過去問の記載がある第11回(2017年度実施)以降の鎌倉観光文化検定(以下、「鎌倉検定」)2級および3級の出題の中から、永福寺跡について、出題状況や傾向を検討します。※問題文は一部改変しています。
2020年度・2021年度の鎌倉検定は中止となっていますのでご留意ください。
傾向と対策
出題傾向としては、永福寺の名前や場所を問うもの、2級では頼朝による永福寺の創建理由、鎌倉市二階堂の名前の理由、永福寺跡の特徴を記載し誤りがあるかどうかの問いの選択肢とするものなどがあります。
- 平泉の中尊寺の二階大堂(大長寿院)を模して源頼朝が創建したという壮大な寺の旧跡はどこか(第12回・3級)⇒正答:永福寺跡
- 奥州藤原氏が築いた平泉の中尊寺の二階大堂(大長寿院)を模して源頼朝が創建した壮大な寺であった永福寺があったのはどこか(第13回・3級)⇒正答:鎌倉宮裏手
- 源頼朝が二階堂に永福寺を創建したのは何のためか(12回・2級 )⇒奥州藤原氏や弟の鎮魂、慰霊のため
二階堂という地名は、奥州合戦に勝利した源頼朝が、平泉・中尊寺の二階大堂(大長寿院)を模して建立した永福寺の本堂を二階堂といったことに由来するといわれています。これも選択肢として出題されたことがあります(13回・2級)。
永福寺跡のまとめ
- 永福寺跡は、鎌倉市二階堂にある、源頼朝が建立した寺院の跡
- 奥州合戦で敗れた平泉の藤原泰衡や弟の源義経ら戦死者の霊を慰めるために建てたもの。建物は焼失し現存しない。
- 現在は二階堂・薬師堂・阿弥陀堂の三堂や苑池が復元整備されている。
- 夏には平泉から贈られた中尊寺ハスが美しい花を咲かせる。
永福寺跡の概要についてひととおりまとめましたが、もしも気になるようでしたらお出掛けされてはいかがでしょうか。
交通アクセス
JR鎌倉駅から「鎌倉宮(大塔宮)」行きバスを利用し「大塔宮」下車。瑞泉寺に向かい徒歩5分。
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更新状況
- 2021年11月13日:二階堂行政、足立遠元の記述を追加
- 2021年9月3日:記事掲載
参考文献
- 鎌倉市公式サイト
- 公益社団法人鎌倉市観光協会公式サイト
- 鎌倉観光文化検定公式テキスト
- 鎌倉観光文化検定公式サイト(鎌倉商工会議所)