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鎌倉・江の島七福神 ~恵比寿神を祭る本覚寺~

本覚寺は、鎌倉駅東口から歩いておよそ5分のところにある寺院です。付近には銀行やコンビニエンスストアー、郵便局などがあり、また、周辺は住宅街となっていて、境内を歩く人の姿も多く、鎌倉に暮らす人たちの生活に溶け込んだお寺です。

更新状況

  • 2023年12月23日:サルスベリとフヨウの写真を追加
  • 2022年12月11日:写真を数葉追加(日蓮上人分骨堂、サルスベリの木、ハスの花、正宗関連)し、五郎入道正宗に関する説明を追記、圓應寺とのリンクを設定
  • 2022年7月16日:記事掲載

本覚寺とは

本覚寺:裏門

本覚寺:裏門

本覚寺は鎌倉駅東口から歩いて5分ほどのところにある日蓮宗の寺院で、山号は妙厳山(みょうごんさん)、1436年(永享8年)日出(にっしゅつ)により創建されました。

この場所にはもともと天台宗系の夷堂(えびすどう)があり、佐渡の配流から戻った日蓮が暫く滞在したともいわれています。

第四代鎌倉公方(くぼう)であった足利持氏(もちうじ)が、夷堂があったこの場所に寺を建てて日出に寄進し、日出が日蓮宗に改め、本覚寺としました

鎌倉公方とは

鎌倉公方とは、京都に幕府があった室町時代、鎌倉に設けられた幕府の統治機関である「鎌倉府」の最高責任者のこと。初代は足利尊氏の息子である足利基氏(もとうじ)。また、鎌倉公方の補佐役を関東管領(かんとうかんれい)といいます。

本覚寺の二代目住持(その寺の主たる僧)である日朝(にっちょう)は、のちに身延山久遠寺の住持になった際に日蓮の遺骨を本覚寺に分骨したため、以降、本覚寺は「東身延」とも呼ばれるようになりました。

日朝が眼病を患った際に法華経の功徳により眼病が治ったとの言い伝えがあり、眼病治癒の寺として親しまれています。日朝に対する尊敬の念から、本覚寺は「日朝さま」とも呼ばれています

本覚寺は、鎌倉江の島七福神、鎌倉十三佛(三番札所・文殊菩薩)などの鎌倉霊場、鎌倉名所巡りの対象地にもなっています。

本覚寺を散策しよう

本覚寺「東身延」の石碑

本覚寺「東身延」の石碑

JR鎌倉駅東口を出て若宮大路を渡り、郵便局や銀行のある交差点を左に曲がって進むと、右側に本覚寺の入り口の門があります。この門は実は裏口になりますが、鎌倉駅から来る場合はここから本覚寺に入るとよいでしょう。

本覚寺の境内散策 日蓮上人分骨堂から

本覚寺:日蓮上人分骨堂と地蔵

本覚寺:日蓮上人分骨堂と地蔵

裏門から入ると右手に日蓮上人分骨堂が、左手には鐘楼があります。分骨堂の前には可愛らしいお地蔵さんもあります。このお地蔵さんにはいつ訪れてもきれいな花が添えられています。

本覚寺:日蓮上人分骨堂

本覚寺:日蓮上人分骨堂

本覚寺:鐘楼

本覚寺:鐘楼

本覚寺:石渡新造左衛門之碑

本覚寺:石渡新造左衛門之碑

鐘楼の脇には「石渡新造左衛門之碑」と彫られた石碑があります。この鐘楼は、もと上総(現在の千葉県)の木左良津(木更津)八幡宮の鐘であったものを、日出が八幡宮別当泉蔵寺での法論に勝ち、従者であった石渡新造左衛門(いしわたしんぞうざえもん)に持ち帰らせたとの言い伝えがあります。

石渡新造左衛門は相当な力持ちだったんだね!
こん吉
管理人 sho
本覚寺鐘楼脇の石碑にはその言い伝えの経緯が記されています。
本覚寺:本堂

本覚寺:本堂

分骨堂を過ぎると右手に本堂があります。この建物は総欅(けやき)造りの建物で、1919年(大正8年)に完成したものです。

本覚寺:寺務所

本覚寺:寺務所

寺務所玄関わきにはサルスベリの巨木があり、夏にはちりめん状の鮮やかな花を咲かせます。

本覚寺:寺務所とサルスベリ

本覚寺:寺務所とサルスベリ

また、寺務所の前にはハスの鉢植えや季節の花々が咲く一角があります。

本覚寺:ハスの花

本覚寺:ハスの花

五郎入道正宗の供養塔

五郎入道正宗(岡崎五郎正宗)は、鎌倉時代末期の刀工で、「相州伝」と呼ばれる刀剣の作風を確立した人物です。日本刀の歴史の中でも最も有名な刀工のひとりであり、その作品には国宝に指定されているものもあるほどです。

寺務所と本堂との間を結ぶ渡り廊下の脇には「五郎入道正宗碑」と彫られた大きな石碑があります。

本覚寺:五郎入道正宗の碑と渡り廊下

本覚寺:五郎入道正宗の碑と渡り廊下

渡り廊下をくぐってすぐのところに、五郎入道正宗の供養塔があります。

本覚寺:五郎入道正宗の供養塔

本覚寺:五郎入道正宗の供養塔

門下に多くの名工を輩出した正宗ですが、その技術は「正宗美術工芸製作所」として現代にも受け継がれています。

本覚寺の象徴 夷堂

本覚寺の夷堂は、鎌倉幕府の裏鬼門(きもん)という方角に当たるということで、幕府の守り神として源頼朝が七福神のひとつである恵比寿神を祭ったところです。

昭和56年に再建された夷堂は、屋根の緑青色が美しく、本覚寺の中でひときわ目立つ建物となっています。

本覚寺:夷堂の扁額

本覚寺:夷堂の扁額

1月1日から3日には、えびす神の年初の祭りである「初えびす」が行われ、商売繁盛を祈願する福笹が授与されます。1月10日には「本えびす」が行われ、烏帽子を付けた福娘が福銭や御神酒(おみき)を振舞います。

鎌倉十橋のひとつ 恵比寿堂橋

本覚寺:仁王門

本覚寺:仁王門

楼門形式の仁王門は江戸時代の創建といわれ、この寺で最も古いものですが、明治時代に他所から移築されたものといわれています。

この仁王門を出たところが本覚寺の正面の門となります。若宮大路に向けて背を向けているのは、かつて若宮大路に面して出入口をつくることを禁止されていた名残といわれています。

小町大路沿いにある大巧寺、妙隆寺なども、本覚寺と同じく若宮大路に背を向けています

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夷堂橋と本覚寺の仁王門

夷堂橋と本覚寺の仁王門

仁王門を出てすぐのところに、滑川(なめりがわ)に架かる橋があります。この橋は、本覚寺の夷堂の近くにあることから、夷堂橋といわれ、鎌倉十橋(かまくらじっきょう)のひとつとなっています。

また、夷堂が近くにあることから、この付近の滑川のことを、別名夷堂川と呼ぶこともあります

管理人 sho
滑川の別名の一つである「閻魔川」の由来については下記リンクを参照してください。

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本覚寺の花と葉

春 シダレザクラ

本覚寺:シダレザクラ

本覚寺:シダレザクラ(クリックで拡大)

本覚寺:シダレザクラと日蓮上人分骨堂

本覚寺:シダレザクラと日蓮上人分骨堂(クリックで拡大)

本覚寺:シダレザクラ

本覚寺:シダレザクラ(クリックで拡大)

本堂に向かって右側、日蓮上人分骨堂の前に大きなシダレザクラがあります。3月下旬から4月上旬には見事な花をつけ、写真撮影をする人が大勢訪れます。

夏 ハス、アガパンサス

本覚寺:鉢植えのハス

本覚寺:鉢植えのハス

本覚寺:鉢植えのハス

本覚寺:鉢植えのハス

ハスは寺務所前の一角に鉢植えのものが並んでいます。ハスの周辺にはアガパンサスの花も咲いています。

本覚寺:アガパンサス

本覚寺:アガパンサス

夏 サルスベリ

本覚寺本堂とサルスベリ

本覚寺本堂とサルスベリ

夏 フヨウ

本覚寺:フヨウ

本覚寺:フヨウ

本覚寺:フヨウ

本覚寺:フヨウ

ご朱印

今回はご朱印はいただいていません。

鎌倉観光文化検定対策

鎌倉観光文化検定公式サイトに過去問の記載がある第11回(2017年度実施)以降の鎌倉観光文化検定(以下、「鎌倉検定」)2級および3級の出題の中から、本覚寺について、出題状況や傾向を検討します。※問題文は一部改変している場合があります。

2020年度・2021年度の鎌倉検定は中止となっていますのでご留意ください。

傾向と対策

出題傾向としては、恵比寿神にちなむもの、正月の行事にちなむものですが、3級、2級とも基本的な内容で難易度は高くありません。

  • 鎌倉江の島七福神のうち、本覚寺に祀られているのは何か。(第11回・3級)⇒正答:夷神
  • 毎年1月10日に本えびすを催し、商売繁盛を祈願し、福娘により福銭、福笹、御神酒が振る舞われる寺社はどこか。(第12回・3級)⇒正答:本覚寺
  • 身延山久遠寺から日蓮の遺骨を分骨して、本覚寺が「東身延」と呼ばれる由縁をつくった人物はだれか。(第11回・2級)⇒正答:日朝 ※選択肢の日出は創建者
  • 毎年 10 月第1日曜日に本覚寺で行われる行事は何か。(第12回・2級)⇒正答:人形供養

自然・景観について関連あることがらの組み合わせとして誤っているものを回答させる問題の選択肢として、本覚寺が出題されています。(第12回・2級)⇒サルスベリ-宝戒寺,本覚寺

本覚寺のまとめ

  • 本覚寺は、鎌倉駅東口から歩いておよそ5分のところにある日蓮宗の寺院
  • 眼病治癒の寺として親しまれ「日朝さま」とも呼ばれています。
  • 鎌倉・江の島七福神のうちの恵比寿神を祭り、正月には初えびす・本えびすで賑わいます。
  • 春のシダレザクラ、夏のサルスベリは鎌倉を代表する名所となっています。
  • 日本遺産「いざ、鎌倉~歴史と文化が描くモザイク画のまちへ~」の構成文化財

いかがでしたでしょうか。本覚寺の概要についてひととおりまとめましたが、もしも気になるようでしたらお出掛けされてはいかがでしょうか。

交通アクセス

鎌倉駅から徒歩およそ8分

連絡先 妙厳山本覚寺 鎌倉市小町1-12-12
TEL:0467-22-0490
公式サイト(鎌倉観光公式ガイド) 鎌倉観光公式サイト(本覚寺)

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