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みんなで守る洋館 ~旧華頂宮邸~

旧華頂宮邸(きゅうかちょうのみやてい)は、鎌倉市浄明寺の宅間が谷(たくまがやつ)と呼ばれる谷戸(やと)にある、鎌倉を代表する洋館の一つ。長谷の鎌倉文学館(旧前田侯爵別邸)に次ぐ規模のこの建物は、旧華頂博信侯爵邸として建てられたものを鎌倉市が取得し、現在に至っています。

更新状況

  • 2024年3月31日:記事掲載

旧華頂宮邸とは

旧華頂に宮邸:入り口付近

旧華頂に宮邸:入り口付近

旧華頂宮邸は1929年(昭和4年)春に華頂博信(ひろのぶ)侯爵邸として建設された、鎌倉の別荘建築を代表する建物の一つとされています。

実際に華頂夫妻が住んでいたのは数年のみで、その後たびたび所有者が代わり、1996年(平成8年)に鎌倉市が取得しました。侯爵邸当時各部屋がどのように使われていたかなど、詳細は不明です。

華頂宮家とは

華頂宮家は、伏見宮邦家(ふしみのみやくにいえ)親王第12男子である博経(ひろつね)親王を始祖とし伏見宮家(ふしみのみやけ)の分家に当たります。京都知恩院の山号である「華頂山」にちなんで華頂宮の称号を賜ったとのことです。

旧華頂宮邸建築概要

  • 建築年:1929年(昭和4年)
  • 設計者・施工者:不明
  • 構造:木造3階建て、洋小屋組み
  • 敷地面積:約4,500平方メートル
  • 延べ床面積:約578平方メートル
  • 屋根:銅板葺き切妻
  • 外壁:木骨モルタル塗り、一部タイル貼り

旧華頂宮邸の概要

旧華頂宮邸の概要を以下の表にまとめました。

住所 鎌倉市浄明寺
電話番号(鎌倉市都市景観課) 0467-61-3477
開園時間 4月~9月 10:00~16:00
10月~3月 10:00~15:00
休園日 ・月曜日・火曜日(祝日の場合は翌平日)
・年末年始
アクセス JR鎌倉駅東口バス4番乗り場「浄明寺」下車 徒歩6分
入園料 無料(寄付)
指定 日本遺産 国登録有形文化財 鎌倉市景観重要建築物等
公式サイト 鎌倉市公式サイト

公式サイトには「庭園及び付近には駐車場はございません。お車での来園はご遠慮ください。」との記載があります。

旧華頂宮一般公開

一般公開の日程

旧華頂宮邸は、例年4月と10月に内部が一般公開されます。具体的な日程については鎌倉市の公式サイトで公表されます。

旧華頂宮邸に入る

旧華頂宮邸:壁と街灯

旧華頂宮邸:壁と街灯

浄明寺バス停から橋を渡り、報国寺前を進むとやがて旧華頂宮邸の入り口となります。旧華頂宮邸に到着したときには既に入館待ちの列ができていました。

管理人 sho
並び始めてから玄関に入るまでにおよそ40分かかりました。
旧華頂宮邸:玄関脇の花飾り

旧華頂宮邸:玄関脇の花飾り

玄関脇にはキキョウやススキ、オミナエシ、ホトトギスなどからなる花飾りが私たちを出迎えてくれました。

花飾りの脇には使われている花木の説明が書いてありました。

玄関脇の花飾りの花木(表記は現地の案内札記載のとおり。カッコ内は筆者記載)

  • 芒(ススキ)
  • 竜胆(リンドウ)
  • ガマズミ
  • 令法(リョウブ)
  • 吾亦红(ワレモコウ)
  • ホトトギス
  • 女郎花(オミナエシ)
旧華頂宮邸:館内案内図

旧華頂宮邸:館内案内図

玄関ホールの壁に館内案内図が貼られています。これを見て全体の様子をつかむとよいでしょう。玄関ではパンフレットももらうことができます。

旧華頂宮邸:広間の花飾り

旧華頂宮邸:広間の花飾り

玄関ホールから広間に入ると「花雅流」家元の手による花飾りがありました。

旧華頂の宮邸:暖炉風のセントラルヒーティング吹き出し口

旧華頂宮邸:暖炉風のセントラルヒーティング吹き出し口

旧華頂宮邸内の各部屋には暖炉風のセントラルヒーティング吹き出し口があります。

旧華頂宮邸:広間からの眺め

旧華頂宮邸:広間からの眺め

広間からバルコニー越しにフランス風庭園を眺めます。

旧華頂宮邸 2階へ

旧華頂宮邸:室内のパネル展示

旧華頂宮邸:室内のパネル展示

1階玄関ホール階段裏の部屋には旧華頂宮邸に関するパネル展示などがあります。

旧華頂宮邸:階段

旧華頂宮邸:階段

玄関ホールの階段を登って2階に進みます。大きく湾曲した階段、広い壁、波型の天井など、旧華頂宮邸の見どころの一つとなっています。

2階には浴室、寝室、二つの広間などがありますが、どの部屋も人が多く写真撮影は差し控えました。

管理人 sho
写真を沢山撮りたい人は平日がお勧めです。
旧華頂宮邸:2階の和室

旧華頂宮邸:2階の和室

2階には旧華頂宮邸唯一の和室があります。

旧華頂宮邸 庭園

旧華頂宮邸:バラの花と洋館

旧華頂宮邸:バラの花と洋館

旧華頂宮邸の庭園は幾何学的なフランス式庭園となっています。ほぼ一面芝に覆われ、ところどころにバラが植えられています。

旧華頂宮邸:バラの花と洋館

旧華頂宮邸:バラの花と洋館

旧華頂宮亭:ハート形の植木

旧華頂宮亭:ハート形の植木

建物正面にはハート形に刈り込まれた植木があります(ツツジでしょうか)。

旧華頂宮亭:キンモクセイ

旧華頂宮亭:キンモクセイ

また、建物に向かって右側には大きなキンモクセイの木があります。秋にはキンモクセイの香りがあたりに漂います。

旧華頂宮亭 和館 無為庵

無為庵:つくばい

無為庵:つくばい

旧華頂宮邸の奥には「無為庵」とよばれる日本家屋があります

この建物は、1970年(昭和45年)から1987年(昭和62年)まで旧華頂宮邸を所有していた松崎貞治郎氏が、1971年(昭和46年)に東京・上大崎から移築したものです。

無為庵:薬医門

無為庵:薬医門

無為庵の門は薬医門と呼ばれる形式のもので、冠木(かぶき)には獅子の彫刻が施され、寺院のような立派な門構えです。

また、建築された時代は昭和初期以前に建築されたと考えられる茶室よりもさらに前の時代であると考えられています。

無為庵:門の彫刻

無為庵:門の彫刻

無為庵:邸内案内図

無為庵:邸内案内図

玄関には無為庵内部の案内図があります。玄関左手には茶室特有のにじり口があります。

また、北東部分は1977年(昭和52年)に増築されたものです。

無為庵:茶室

無為庵:茶室

上の写真には写っていませんが、茶室の天井は中央部分が八角形になっており、16本の棹を放射状に通すなどの奇抜な趣向が施されています。

無為庵:外観

無為庵:外観

無為庵は旧華頂宮邸内部公開日のみ公開され通常は非公開です。

みんなで守る旧華頂宮邸

旧華頂宮邸公開日の入場料は無料ですが、寄付を受け付けています。1階食堂とサンルームでは「旧華頂宮邸・宅間ボランティアの会」の皆さんがコーヒーを提供してくださり、寄付金は庭園整備費用に充当されています。

旧華頂宮邸はこうしたボランティアの皆さんそのほか関係者の皆さんの手で守られています。

管理人 sho
私もコーヒーをいただきわずかですが寄付をしました。

通常は庭園のみが公開され庭園入り口に募金箱が設置されています。

近くの見どころ

浄明寺地区にはここ旧華頂宮邸以外にもたくさんの見どころがあります。詳しくは下記リンク先を参照してください

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旧華頂宮亭のまとめ

  • 旧華頂宮邸は、鎌倉市浄明寺にある鎌倉を代表する洋館の一つ
  • 通常は庭園のみが公開され春と秋の年2回の4日間のみ建物内部が公開される。
  • 数々のテレビドラマやアニメの舞台ともなっている。
  • 主に宅間が谷の住人で構成される「旧華頂宮邸・宅間ボランティアの会」の皆さんが保存活動や公開日のコーヒーサービスを行っている。

いかがでしたでしょうか。旧華頂宮邸の概要についてひととおりまとめましたが、もしも気になるようでしたらお出掛けされてはいかがでしょうか。


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